■■ 「批評を考える会」 <2006年8月> ■■

 

 八月二十四日、大塚駅周辺の阿波踊りの喧騒と人混みのなか、九名が参加され民主主義文学会の会議室で行なわれました。司会は宮本阿伎氏。
 今回は「戦後民主主義文学運動をふりかえる」のシリーズ六回目で、蔵原惟人「人民の立場に立つ民主主義文学とは何か──民主主義文学同盟の創立によせて」をテクストに、文芸評論家の岩渕剛氏が報告されました。
 報告者は先ず、一九六五年民主主義文学同盟(当時)が創立された経緯を、それまでの新日本文学会の幹事会が、主に部分核停条約をめぐる国内外の複雑な政治的状況を反映して意見のちがう一部の人たちを排除したことから創立されたこと、因みにその時の発起人に、江口渙、住井すゑ、松田解子、金達寿、西野辰吉、霜多正次、佐藤静夫らがいたことなど興味深く話されました。「民主主義文学とは何か」について蔵原テクストでは、「帝国主義と独占資本の支配に反対し、それとたたかう人民の生活と要求を反映する反帝・反独占の」文学であると、時代状況を反映したその用語とともに、かなり政治的に定義づけられているが、その主脈はいまにつづいて、新しい若い書き手が育っている、とまとめました。
 討論では、当時人民の立場に立つ民主主義文学という表現が使われたが、確かに今日も、小泉もブッシュも民主主義を言う、本来、民主主義は民主主義でよいはずだが、では民主主義とは何か、民主主義文学とは何か、もう一度原点に立ち返って考えてみる必要がある、そのとき大切なのは、その中身を語りあうこと、また実作の感動を通じて語るべきではないかなど、白熱した議論は予定時間をオーバーして続きました。                        
(坂井実三)

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