手塚英孝賞
 

第12回 手塚英孝賞発表


松田繁郎 「時代をこえたプロレタリア文学の魅力」        
      ―細井和喜蔵『奴隷』『工場』を読む―

 受賞者・受賞作

・松田繁郎
まつだ・しげろう
一九六四年大阪府生れ。千葉市在住。民主主義文学会会員。代々木支部所属。

・「時代をこえたプロレタリア文学の魅力 
     ―細井和喜蔵『奴隷』『工場』を読む―」

 

 受賞のことば
松田繁郎 
 私の生まれ故郷の大阪府岸和田市は、かつて大きな紡績工場のあった町でした。小学生の頃、社会見学で紡績工場に行き、機械の音に驚いた経験があります。細井和喜蔵『女工哀史』は大学生の頃、生協の書店で見つけて以来、愛読書の一つでした。とにかく、『民主文学』誌上で小説『奴隷』『工場』論を発表する機会をいただいたことに感謝します。評論が掲載された時、鐘紡社員の娘であった母親から、いち早く感想が届きました。
 受賞のご連絡をいただいた日は、コロナ禍・地震・ロシア軍によるウクライナ侵略を考えていて憂鬱で、夕方から傘を持たずにスーパーへ買い物に出かけたら、帰りは土砂降りの雨にたたられました。過分な評価に驚くとともに、史上最大のインフルエンザや関東大震災に負けず小説を書き続けた細井和喜蔵とプロレタリア文学の魅力を再認識しました。


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