【声明】

ウクライナ侵略とそれに乗じた改憲策動に反対する


 ロシアのウクライナ侵略は、武力による現状変更の企てのみならず、民間人、民間施設を標的にした
爆撃、原子力発電所への攻撃、核兵器による威嚇など国連憲章、国際法に違反する行為を重ねる暴挙である。私たちはロシアに侵略行為をただちにやめ、ウクライナから撤退することを求める。

 ロシアは国内の報道統制を強め、SNSまでをも規制している。ウクライナでの蛮行をフェイクニュースと決めつけ、政府方針に反する報道を行なったものを処罰できるように刑法を改定した。刑罰をもって言論、報道の自由を抑圧するやり方を断じて看過することはできない。

 ウクライナの事態に乗じて、安倍元首相や日本維新の会などから「核共有」を議論すべきだという発言が出ている。広島、長崎へ原爆を投下された戦争被爆国であり、核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則を決議した国として決して許すことのできない暴言である。「核共有」は核拡散防止にも背くものであるが、今の事態は、核兵器所有国が理性的に行動することを前提としなければ成り立たない核拡散防止体制の限界を示している。めざすべきは核兵器廃絶であることがより明確になったと言える。昨年、史上初めて「核兵器禁止条約」が発効したが、被爆地の広島県選出である岸田首相が禁止条約に背を向け続けているのは許し難いことである。

 さらに台湾有事や北朝鮮の動向に関連づけて国民の不安を煽り、憲法改悪に結びつけようとする動きが強まっている。自民党は軍事費を五年以内にGDP二パーセント以上にする提言を行うなど軍拡路線に拍車をかけているが、これは社会保障のさらなる削減につながることは明らかである。

 参議院選挙が七月に行なわれる。私たちはウクライナ情勢に乗じた憲法改悪、平和と民主主義を破壊する策動を許さず、国民生活を守るために、幅広い政党・団体・個人と連帯して、全力でたたかう決意を表明するものである。

二〇二二年五月二十二日

 日本民主主義文学会第三回幹事会 

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