【声明】
憲法違反の「安全保障法案」の採決強行に抗議し、
        憲法を守る行動をさらに広げよう

 政府、与党は、九月十九日未明、多くの国民の反対の声を押し切って、「安全保障法案」を強行採決した。国会審議の中で、政府の答弁が一貫せず、なんども答弁不能になって審議がとまった欠陥法案を、数の力で打ち切り、「成立」させたことは暴挙以外の何ものでもない。政府、与党をはじめ、この法案成立に手を貸したものに、強く抗議する。
 圧倒的多数の憲法学者、歴代の内閣法制局長官、元最高裁長官を含む最高裁判事経験者が断じているように、法案の違憲性は明らかである。そしてどの世論調査でも、法案を今国会で成立させることについて、六割以上の人が反対と答えている。
 それは、集団的自衛権の行使を容認するこの法案が、憲法の平和的理念を踏みにじり、日本を海外で戦争する国に根本的に変質させるものであることへの危惧を、多くの国民が抱いたからに他ならない。
 民主主義のルールすら無視した横暴な国会運営に対する怒りの声は、国会を取り巻くだけでなく、全国に広がっている。「SEALDs」や「安保関連法案に反対するママの会」をはじめ、世代を越えた新しい運動としてまきおこっている事態は、本法案の成立によっても止むことはないだろう。人々の叡智はさらに大きな広がりをもって、平和と民主主義を取り戻すに違いない。
 かつての「暗い谷間の時代」に、文学は戦意高揚につかわれた。国民から真実を奪いとる戦争は、文学、芸術の発展を著しく妨げることを過去の歴史は証明している。侵略戦争への痛苦の反省から、日本が不戦の誓いをしたとき、戦後民主主義文学は出発し、私たち日本民主主義文学会も五十年の歩みを進めてきた。憲法の平和的民主的理念を守るために、私たちは広範な文学に携わる人たちとの共同を広げることを改めて決意する。

    2015年9月19日
日本民主主義文学会常任幹事会  

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