【声明】
集団的自衛権行使を容認する解釈改憲に反対する

 衆参両院の多数を得て暴走を続ける安倍晋三首相の最大の宿願は憲法九条の改悪です。改憲要件を緩和する九十六条改定のもくろみが、自民党や改憲勢力の一部も含めた予想外の反対を受けてとん挫した後、今度は集団的自衛権の行使容認に向け憲法解釈の変更を狙っています。
 現在、首相の諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」では、集団的自衛権の行使を可能にするための議論を続けており、年内にも報告書を提出する方針です。これを受けて政府は実際に集団的自衛権が行使できるよう憲法解釈の変更に踏み込む構えです。歴代政府は、これまで憲法解釈上、集団的自衛権の行使はできないとしてきました。安倍政権は、内閣法制局長官の首をすげ替えるというクーデター的やり方で解釈変更を企てているのです。
 国会で安倍首相は、集団的自衛権が当事国の「防衛」のために発動された事例があるかと追及を受け、具体例を挙げることができませんでした。戦後史において集団的自衛権を口実におこなわれてきたのは、米国のベトナム侵略戦争や旧ソ連のアフガニスタン侵略など、大国による無法な干渉、軍事介入の戦争ばかりです。米国は北ベトナムから南ベトナムが攻撃を受けたとして、ベトナム戦争を始めましたが、後ででっち上げとわかりました。集団的自衛権とは、自衛権とは名ばかりで、実際には大国が「敵」をつくり、その攻撃にグループで参戦する仕組みなのです。そういう意味で「集団的攻撃義務」と呼ぶ人もいます。
 日本国憲法は,前文で平和的生存権を確認し,第九条で戦争放棄、戦力不保持及び交戦権否認を定めるなど、徹底した恒久平和主義を採用しています。これは十五年に及ぶ侵略戦争で多大な惨害を世界と日本の人民に与えた痛苦の反省に立って定められたものです。明文改憲、解釈改憲を問わず、この平和主義を投げ捨てることは現代日本の存立の土台を否定し、歴史を後戻りさせる行為であり、絶対に許されません。
 日本民主主義文学会は、戦前、激しい弾圧のなか侵略戦争に反対してたたかったプロレタリア文学運動の伝統を引き継ぐ文学団体として、集団的自衛権の行使を容認する解釈改憲に強く反対します。

   2013年12月1日
日本民主主義文学会第二回幹事会  

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