【声明】

原子力発電所の再稼働に反対し、新しいエネルギー政策への転換を求める

 五月五日、北海道泊原発の原子炉が定期点検のために停止し、わが国のすべての原子力発電所が四十二年ぶりに停止することになった。これは、昨年三月の福島第一原発の事故以来、原子力発電のもつ危険性が明らかになっていくなかで、原発からの撤退を求める世論がつくりだした成果といえるだろう。
 しかし政府は、福島原発事故の原因究明がなされていないにもかかわらず、関西電力大飯原発の再稼働を強行しようとしている。既に一部マスコミでは、電力需給に関する試算もあいまいなまま、電力不足への不安をあおるかたちでの、運転再開への世論誘導も始まっている。
 そもそも、ストレステストと称する机上の計算だけで安全性が確認できたとする政府の判断は、およそ科学的とはいい難いものである。まして、その判断のもととなった評価を、原発推進勢力と癒着して数々の失敗を繰り返してきた原子力安全保安院がおこなうなど、安心と安全を求める国民にとって到底納得できることではない。政府がいま先ずなすべきことは、福島原発事故の検証と、公言してきた「脱原発依存」の実践としてのエネルギー政策の転換であろう。
 原子力発電というシステムそのものが、人類の将来にとって大きな負の遺産であり、未完成の技術であることはかねてから指摘されてきている。昨年五月の日本民主主義文学会第二十四回大会は、〈現在わが国にあるすべての原子力発電所ならびに核燃料の再処理など関連する諸施設の安全な廃止をめざすこと〉を、政府ならびに各電力会社に強く求める決議を上げた。
 われわれは、このたびの全原発の停止をきっかけに、自然エネルギーの研究開発と実用化を視野に入れた、原子力に頼らない新しい総合的なエネルギー政策への転換を強く求め、すべての原発の再稼働に断固反対するものである。

    2012年5月27日
日本民主主義文学会第三回幹事会  


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