【決議】
戦後民主主義を守り、時代の逆流を阻止するために 
              総選挙にあたって呼びかけます


 一週間後に総選挙の投票日を迎えるという緊迫した時に、第四回幹事会は開かれました。一昨年発足した安倍政権は、民意を反映しない多数の議席をたてに、軍国主義復活への野望をもって、次々と国民をないがしろにした「亡国の政治」を突き進んできました。時代と文学がこれまでにない緊張感をはらむようになっています。「海外で戦争する国」づくりに道を開く集団的自衛権行使容認の「閣議決定」、国民の目と耳、口をふさぐ秘密保護法の強行採決など著しい反動化がすすめられ、国民の多くが強い危機感を抱いています。他民族を蔑視する排外主義的なヘイトスピーチが堂々と街中で繰り広げられ、かつ日本軍「慰安婦」報道をめぐって、大手新聞の広告に「売国奴」などという目を疑うような言葉が乱舞するのを私たちは目撃しました。
 この様相は社会全体のファシズム化を想起させ、文学が時代にどのように対峙していくのか、戦前・戦中のような時代を再来させるのか、鋭く問われています。
 大江健三郎が、政治の逆流に対して平和と民主主義の「戦後の精神」が真っ向から否定されていると、時代の危機感を表明したことは記憶に新しいところです。
 しかし安倍政権の暴走をゆるさない民衆のたたかいは、秘密保護法、集団的自衛権、消費税大増税、原発再稼働、米軍新基地建設問題などで日本の津々浦々でこれまでにない広がりと規模で取り組まれ、どの世論調査でも反対する声が多数をしめ、安倍内閣を追い詰めています。十一月十六日投票の沖縄知事選では、保守、革新の枠をこえた「島ぐるみ」のたたかいが安倍政権の支援をうけた現職知事を圧倒的大差で打ち破り、新基地建設ノーの声を突き付けました。
 戦後文学は、文学者たちが軍国主義と侵略戦争のうねりに抵抗できなかったという痛苦の体験から出発しました。「平和と自由、民主主義の擁護・発展」を掲げる日本民主主義文学会に結集する私たちは、多くの文学者たちと連帯して時代の逆流を阻止するために力を尽くしたいと思います。今回の総選挙が安倍亡国政治にストップをかけ、秘密保護法反対、原発ゼロ、TPP反対、消費税増税阻止、憲法擁護などで、国民の声が届く政治の実現の大きな一歩となることを願ってやみません。

 二〇一四年十二月七日
日本民主主義文学会第四回幹事会  


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