【決議】海外での武力行使に道を開く「戦争立法」の企てを許さない

 安倍政権は、集団的自衛権行使についてのこれまでの憲法解釈を覆し、アメリカが始めるどんな戦争にも自衛隊の参加を可能にし、「海外で戦争する国」になる「戦争立法」の関係法案を、来週にも閣議決定しようとしている。
 とりわけ、先の訪米でのオバマ大統領との会談をてこにして、安倍首相は沖縄の米軍新基地建設や新ガイドライン・「戦争立法」の法案化、TPP(環太平洋連携協定)の早期妥結を問答無用に推し進めようと、国内の多数の反対世論に対して、許し難い強権的姿勢を示している。
 「戦争立法」は、「日米同盟をいっそう強化する」ために今回改定された新ガイドラインを法制化し、日米軍事協力を地球の裏側にまで拡大するものである。この「戦争立法」が成立すれば、戦後日本の安全保障政策は根本的に転換し、自衛隊は従来は禁じられていた「戦闘地域」を問わず、アメリカの戦争にいつでもどこでも参戦でき、米軍と共同してたたかうことが可能になり、さらに日本が攻撃を受けていなくても、「集団的自衛権」の名でアメリカの先制攻撃(侵略戦争)に自衛隊を参加させる道を開くことになる。
 一方で安倍首相は、まだ日本の国会にかけられてもいない「戦争立法」を「この夏までに必ず実現させる」とアメリカの上下両院合同会議で対外公約するという、一国の首相としてあるまじき言動を行った。三万人が参加した先日の「平和といのちと人権を! 五・三憲法集会」で、呼びかけ人の一人の大江健三郎氏は「外国では繰り返し『法律をつくる』といいながら、日本では、国会などの政治的な場所で日本人の承認、賛同を得たことはありません。このことをはっきりという必要があります」とただちに反撃した。この国の平和と憲法、主権が危機に瀕しているいま、平和といのちの尊厳を掲げる戦後の積極的精神が多くの人々を行動に立ち上がるように鼓舞している。
 人間の生き方、思想の根本に能動的に働きかけるのは文学の力である。創立以来五十年、日本社会の現実に根ざして、何より戦争とそれにつながる反動的潮流に反対し、平和と民主主義を求めてきた私たちは、安倍政権の戦争する国づくりの危険な企てを断じて許すわけにはいかない。この「戦争立法」の制定を阻むために、志を共有するすべての人々と協力して大きな世論をつくりだす決意をここに表明する。

    二〇一五年五月十日
日本民主主義文学会第二十六回大会  


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