日本民主主義文学会第24回大会決議 ― 福島第一原発事故にさいして政府ならびに東京電力、原子力発電所をかかえる電力各社への抗議と要請

 福島第一原子力発電所の事故は、チェルノブイリ事故にも匹敵する史上最悪の事態となっている。発電所から三十キロメートル圏内および放射線濃度の高い地域の住民は避難生活を余儀なくされ、農水産業をはじめとした地場産業は、大きな打撃を蒙っている。
 今回の事故は、歴代政府が「安全神話」にしがみつき、繰り返しての警告を無視して安全対策を怠ったことが原因である。政府と東京電力は、地震と津波を起因としつつも、事故をここまで深刻な事態に陥らせたのは人災以外の何ものでもないことを認め、危険回避と事故収拾にいっそう力を尽くすべきである。
 私たちは、東京電力が事故によって被害を受けたすべての住民、農漁業従事者、企業などに対して賠償責任を果たすことを強く要求する。被災者補償を理由とした電力料金の値上げや消費税の増税、新税創設などがいろいろと取りざたされているが、言語道断といわなければならず、私たちはこれを認めることはできない。
 わが国は世界でも有数の地震国でありながら、「安全神話」にもとづいて原子力発電を中心としたエネルギー政策をすすめてきた。いま、福島第一原子力発電所の事故にさいし、その根本的な見直しが求められている。
 菅内閣が過日、十四基の原子力発電所の新増設計画を白紙に戻すことを表明し、静岡県浜岡原子力発電所の停止(当面)を中部電力に要請したことは、事態の重大性に鑑みて当然のこととはいえ、重要な措置として大いに歓迎するものである。同時に、
 @今回の福島第一原子力発電所事故の検証を、原子力発電所に反対する人をふくめた外部の研究者などで委員会を構成してただちにすすめること
 A現在ある五十四基すべての原子力発電所の総点検をおこなうこと
 B原子力発電によらない、総合的なエネルギー政策を検討し、将来へ向けてのプログラムを策定すること
 C現在わが国にあるすべての原子力発電所ならびに核燃料の再処理など関連する諸施設の安全な廃止をめざすこと
 以上を政府ならびに関連電力各社につよく要求するものである。

   2011年5月8日
日本民主主義文学会第24回大会   


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