若い世代の文学研究集会

◆ 第5回 若い世代の文学研究集会開く ◆
 
 2015年11月14、15日、千葉県柏市のさわやか千葉県民プラザで、第5回目となる若い世代の文学研究集会を行いました。全体で20名の参加となり北は岩手、南は愛媛まで全国の若い書き手が集い学び合いました。
 今回は初めて分科会を基礎講座と創作専科のコースとし、能島龍三氏と仙洞田一彦氏を講師に迎えました。初参加の方が7名も参加し、実作を持ち寄って講師の指導を受けることができました。   
 基礎講座では小説の基礎を学びました。二時間ほどの能島氏の講義では、小説のテーマ、構成、人物と環境、視点などについての創作方法を学び、「創作にとって最も大切なものはモチーフである」「愛と苦悩を描く」という先人の言葉も紹介され「労働者のたたかいや政治的なことに限らず、作家が関心を持つ題材、テーマを自由に書くことこそ、民主主義文学の姿だ」と語りました。
 創作専科では「文学とは、テーマに対する答えではなく、優れた問いである」と講師の仙洞田氏よりお聞きしました。
 能島氏や仙洞田氏の言葉を聞いて、文学にどう対峙していくのか、まずその立脚点を見つめ直すことから始めていきたいと思いました。
 夕食後は参加者の自己紹介や作品創造の取り組み、悩みなど、お酒を酌み交わしながら交流しました。日頃は顔を合わせることのない仲間との文学談義が夜遅くまで盛り上がりました。
 2日目の散会後に井上文夫氏の協力で行った文学散歩では、隣の我孫子市の手賀沼のほとりにある白樺文学館を訪れました。多喜二とゆかりの志賀直哉、白樺派の目指した文学を学びました。
 仕事や家事、子育てなどの忙しさの中でなぜ、こんなに苦しい思いをして小説を描いているんだろうと、悩むこともあります。集会に参加して思いを語りあうと、また頑張って書いていこうと勇気をもらうことができます。
 この集会での学びを活かして、ここで出会った新しい仲間とも互いに励ましあいながら、今後も研鑽していきたいと思います。
  (橘 あおい)



 〈参加者の感想〉

               基礎講座に参加して
 (成田富月) 


 初めて参加した若い世代の文学研究集会、会場となったさわやかちば県民プラザが広くてきれいなのに驚きました。参加した皆さん、熱意をもって真剣に創作に向かう方ばかりという印象を受けました。
 参加した基礎講座では講師の能島隆三氏から、短時間でお聞きするのはもったいないほど多くのことを教えていただきました。
能島氏が先輩作家から聞いてこられた生の声を多数ご紹介いただき身が引き締まりました。
 この基礎講座ではモチーフの大切さを改めて確認し、自分のモチーフは何かという問いを投げかけられました。恥ずかしながら私は「どうしても書かねばならぬ」というところにまだ行き着いていません。書いて読み感じることを繰り返して、それでも書かねばならないと思えるか、確認するところから再スタートです。
 皆さんと同じ席で学び、交流させていただくことができて良い刺激をいただきました。今後じっくりと、書く心構えを確認していきたいと思います。
 

               創作専科に参加して
 (杉山まさし) 


 参加者の多くは、悩み、戸惑い、苦しみ、己の小説世界と表現と、その狭間でせめぎあい、日々格闘している。特別なことでなく、誰しもがそうなのだ。それがための文学研究集会なのであろう。
 講師の文学に対する態度に耳を傾け、実作を前に作者を交えて討論することは、きっと大きな財産となったはずだ。ならばこそ感じるのは、参加した一通りの感想だけでなく、一夜限りの良き邂逅で終わらせることなく、何らかの総括が必要ではなかろうか。
 箇条書きで良い。何が討議され、何が確認されたのか。何が問題となり、何が未解決のものとして残ったのか、等。これからもたゆまず表現し続けてゆくうえで共有すべき認識のようなものを。次はそのステージに立って作品に向き合えば良い。書くのも批評するのも、討議するのも。
 あるいは将来、そこで確認したはずの認識が間違っていたことに気づくような事があるかもしれない。文学者ならば、なおさら言葉に残すべきだと思う。これからこの世界に足を踏み入れる仲間のためにも。