2017年1月号 作品紹介

     
 
 「忘れ火」 仙洞田一彦
  東京南部にある従業員四千人の会社の職場では、隔離部屋政策に続いて千人の希望退職募集が行われた。

 「或る作家の肖像」 吉開那津子
  大林司郎が、いつわたしの住む町へ引っ越して来たのか、その年月をわたしは記憶していない。

 「滾々と泉は」 柴垣文子
  退職を待ち、私は学校では話せない場面緘黙症の少女のことを短編小説に書いた。

 「黒い凍土壁」 風見梢太郎
  政府の原発汚染水処理対策委員会で重責を担う人物に会うのを予期して私は同窓会に参加した。

 「K捕虜収容所」 野里征彦
  寺嶋たちが沖縄県南部にあるK収容所に連れて来られたのは、九月のはじめごろだった。

 「ロング・グッドバイ」 工藤勢津子
  「生きてるうちに、いっておきたいことがある」突然、母の登志がいった。

 「雨蛙」 鶴岡征雄
  一九五六年夏、進路の選択に悩む十五歳の少年たち。一平の友、壽一の希望を拒んだのは国だった。
      
 
       

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