創立45周年記念レセプション開かれる


 二〇一〇年八月二十八日、日本民主主義文学会は創立四五周年記念レセプションを東京・日本青年館で開催しました。当日は二十二人の来賓を含む百人近い人々が参加し、創立記念行事の一つとして成功裡に終わりました。
 レセプションは吉開那津子会長の開会のことばではじまり、能島龍三事務局長が「日本の文学の現状と民主主義文学運動の課題」と題して約二十分のあいさつをしました。能島事務局長はこのなかで文学同盟創立以来戦争に反対し、平和の実現をめざし、また労働運動にも強い関心を注いで運動をすすめ、一九九五年には自力発行確立、これまで一回の休刊もなく『民主文学』を続刊してきたことを明らかにしました。
 この間、『民主文学』があればこそ困難ななかで作品を発表できたこと、現在も百を超す支部で多くの会員が作品を発表する活動をし、現代の大きな激動の時代と対峙していることを示しました。
 日本の現状は文学情況からみても危機的であり、その傾向は強まっている。それだけに文学会は今年の研究集会が「文学は時代にどう向き合うか」をテーマで討論、意見交換をおこない、さらに記念事業として『文学運動の歴史と理論』『現代短編小説選』を発行、今後もひきつづき小林多喜二の意志を継いで文学運動を発展させたいと強調しました。
 続いて乾杯の音頭に立った土井大助氏は、江口渙、村山知義、山田清三郎など諸先輩や戦中、戦後の世代、しかも個性的文学者が集い文学同盟を結成したこと、一九八三年には編集部解体という危機に直面し全力をあげて奮闘したことなど紹介、乾杯をしました。
 しばしの懇談の後、劇作家津上忠氏が「創立当時をふりかえって」との祝辞を述べられました。津上氏は戦後の宮本百合子の提唱した新日本文学会の発足の頃から参加し、佐藤静夫、霜多正次、後に窪田精、大橋喜一氏などとの交流から、その後の日本共産党五〇年問題、新日本文学会の変質など困難な道を経て日本民主主義文学同盟が創立され、現在まで歩んできた。今後は益々の発展に向かってほしい、と結びました。
 しばらくの懇談後、来賓の方々から祝辞がありました。明石武美氏(文団連)、南浜伊作氏(詩人会議)、市田忠義氏(日本共産党)、成澤榮壽氏(部落問題研究所)、櫻井幸子氏(婦人民主クラブ)、尾西康充氏(文学会)と多方面からの励ましをいただきました。特に市田忠義氏は日本共産党書記局長として初めての登場で、しかも氏自身『民主文学』創刊号からの購読者だということで会場が沸きました。
 会場では久しぶりの出会い、初対面のあいさつなど懇談が続き、丹羽郁生編集長からの「これからの四十五年に向けて、みなさまの励ましを肝に銘じていく」との強い決意表明があり、最後に稲沢潤子副会長から閉会のあいさつ。稲沢副会長は寄せられた祝辞でさらに一歩踏み出す気持ちになったこと、創立した時代、困難な時代の時の話はやはり元気付けられた。さらに読者との疎通を深めて、これからは文学の本質を考え抜き、文学会の中だけの努力でなく殻から抜けて文学会に期待する人たちに向けて努力したい。そのために次代の世代へのバトンタッチをみんなで力を合わせたい、と熱っぽく語り会を閉めました。
 遠く北海道からの参加者もあり、次への飛躍を願わずにいられないレセプションでした。
(秋谷徹雄)